ボスは死んでいる。では目まぐるしく動く目の前のこれは誰の意志によって。
一歩を踏み出すと、
「あんたにつく」砂山はゆっくり両手を広げて降伏を示した。「革命は成功しない。俺はこの船を手に入れたい。だからボスであるあんたに従う。賢い選択だろう?」
女は銃を構えたまま、薄く笑んだ。「あなたが船を手に入れることはない。この船は渡さない。それでも?」
わかりやすい挑発は、わざとだ。この船を奪いたくてたまらない盗賊として、彼女が付け入る隙を与えるのだ。
「あんたの側にいれば船の操縦も管理もすべて見られるんだろう?堪らないね」
「そんなに欲しいかしらね、この古い船が」
「欲しいさ」
女の銃に弾が込められる音がした。
「だったら撃つ、と言ったら?」
思惑通りだ。砂山は口角が上がるのを隠さない。
「殺さない方がいいな。俺は革命軍からあんたを守ることもできるし、こう見えても頭は悪くない。利用価値はあるぜ? あんたもそう思ってるんだろう、じゃなきゃもう撃ってるはずだ」
「その通りね」女は銃を下ろした。「可哀想に、エリンはあなたをずっと待っていたのに」
エリンの名を呼ぶ口調に少しの気安さがあり、意外に思った。
エリンから聞いていた話にはずいぶん嘘があるのかもしれない。
「彼女がどう思っているかは俺の預かり知るところじゃないさ」
「随分冷たいこと……上着を脱いで。持っている武器を全部捨てなさい」
言われた通りにマントを脱いで放る。武器は何も持っていない、と首を振る。
「持っていないからといって、何も意味はないけれど……素手で私の首を折るくらいできるでしょうから、あなたなら」
「そうだな。すぐに殺せる」
女が砂山を見上げる。黒い瞳。紅い唇。似ているようで全然違う女。
しばらく見つめ合い、どちらからともなくくすくすと笑いが漏れた。
「あんたの犬になろう。
一歩を踏み出すと、
「あんたにつく」砂山はゆっくり両手を広げて降伏を示した。「革命は成功しない。俺はこの船を手に入れたい。だからボスであるあんたに従う。賢い選択だろう?」
女は銃を構えたまま、薄く笑んだ。「あなたが船を手に入れることはない。この船は渡さない。それでも?」
わかりやすい挑発は、わざとだ。この船を奪いたくてたまらない盗賊として、彼女が付け入る隙を与えるのだ。
「あんたの側にいれば船の操縦も管理もすべて見られるんだろう?堪らないね」
「そんなに欲しいかしらね、この古い船が」
「欲しいさ」
女の銃に弾が込められる音がした。
「だったら撃つ、と言ったら?」
思惑通りだ。砂山は口角が上がるのを隠さない。
「殺さない方がいいな。俺は革命軍からあんたを守ることもできるし、こう見えても頭は悪くない。利用価値はあるぜ? あんたもそう思ってるんだろう、じゃなきゃもう撃ってるはずだ」
「その通りね」女は銃を下ろした。「可哀想に、エリンはあなたをずっと待っていたのに」
エリンの名を呼ぶ口調に少しの気安さがあり、意外に思った。
エリンから聞いていた話にはずいぶん嘘があるのかもしれない。
「彼女がどう思っているかは俺の預かり知るところじゃないさ」
「随分冷たいこと……上着を脱いで。持っている武器を全部捨てなさい」
言われた通りにマントを脱いで放る。武器は何も持っていない、と首を振る。
「持っていないからといって、何も意味はないけれど……素手で私の首を折るくらいできるでしょうから、あなたなら」
「そうだな。すぐに殺せる」
女が砂山を見上げる。黒い瞳。紅い唇。似ているようで全然違う女。
しばらく見つめ合い、どちらからともなくくすくすと笑いが漏れた。
「あんたの犬になろう。